子どもの頃よりシルクへの憧れがあり、その後一人の桑蚕の研究者との出会いにより、蚕の営みや繭の美しさに惹かれ、いつかシルクを扱う仕事がしたいという思いがありました。十年程前、雪景色の遠野の町(岩手県)をわが子と旅したとき、養蚕が農家の人々の生活そのものだったことを物語る家屋に出会いました。蚕棚や糸車、家族で寝起きを共にした狭い部屋の先、曲がり廊下を歩いていくと、遠野物語で有名な "おしら様" を祀る御堂がありました。養蚕の神とも信仰されてきたご神体です。当時の農家の生活を偲びつつ、一気にシルク=絹を身近に感じました。今ではシルクに触れると、蚕が健気に生糸を紡ぐ姿が目に浮かび愛おしくなります。ここ絹藤の本拠地である葉山は御用邸ゆかりの養蚕の地でもあり、地元の小学生も蚕を育てています。このご縁を大切に、地域の若者を支援し、雇用創出にも貢献したいと考えております。